脱・ニート予備軍

ニートという言葉をご存知でしょうか?
NEET(Not in Employment, Education or Training)
「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人」
という意味です。最近、増えてきており、
社会問題になっています。

今、学習サークルでは生徒懇談を行っています。
特に中学3年生の生徒と懇談をするときは、
「行きたい学校と、将来したい仕事を考えてから
懇談に臨みなさい。」
と言ってから懇談をしています。
いいかげんに考えてきた様子が分かった生徒には、
「もう一度考えてきなさい。」と伝えて、
懇談のやり直しをしています。

中3の生徒にとっては厳しい内容で、おそらくどこの塾でも
こんなレベルではしていないだろうと思います。
なぜ、このようなことを今年から始めたのか?
少しお話したいと思います。

3月の小学生の最後の授業で、
「将来の夢」という作文を書いてもらいました。
そして、その内容を書いてもらう前に、
シアトルマリナーズのイチローが小学生のときに
書いた作文を読んでもらいました。
彼は、12歳のときにすでに18歳のドラフトでもらう
契約金の金額を決め、それを実現させるために、
1年中ハードな練習をしていたのです。そして、自分で
「これだけ練習してるから必ずプロになれる」
と言い聞かせていたそうです。
しかも、ただ盲目的にひたすら練習していたわけではなく、
全国大会に出場して、自分より上手な選手がいないことを
確認したり、スランプに陥ったときの解決策を
自分なりに見つけ出したりしながら、
「いける」という実感を育てていったそうです。

私は高校受験を
「人生で最初に自分の力で将来を選択する機会」
と位置づけ、生徒に話しています。
そして、出来るだけ早い時期に壁にぶち当たって、
それを乗り越えるという経験をしてもらいたいと思います。

人は、壁にぶつかると、取る行動は3種類に分かれます。
1.乗り越える
2.立ち止まる
3.壁を避けて通る

これは、4歳の幼児が友達関係でぶつかる壁も、
中年が仕事の付き合いでぶつかる壁もすべて同じです。
ただ、抱えているものの大きさの違いが、
問題の性質を複雑化しているだけで、
根本的な対処の仕方はなんら変わりありません。

これをテストで考えて見ましょう。
500点満点のテストで、250点をとったとします。
そして、この点数は本人にとって満足できない点数です。
乗り越える人は、間違え直しをして、分からないところを
先生に質問しに行き、問題を解決して、同じ間違いを
繰り返さないように勉強して今回のテストで
「250点しか取れなかった」という事実を
前向きに乗り越えるでしょう。

立ち止まる人は、悪い点を取ったと感じていながらも、
行動には出来ず、「次はいい点取りたいな~」と
頭で思いながら、ダラダラと日々を過ごし、
あっという間に次のテストになって
同じことを繰り返すでしょう。

壁を避けて通る人は、「自分は勉強には向いていない」
と決めつけ、テストに前向きに取り組まず、
落ちるところまで落ちてしまうでしょう。
そして、やりたいことが見つかった頃には、
勉強せずに問題を先送りしてきたことを、
大きく悔やまなければいけません。

壁にぶつかったとき、その人なりに考え、
行動し、乗り越えられたとき、初めて「経験」として
成長につながるのであって、この「考える」→「行動する」
→「結果を出す」というサイクルがその人の器を
大きくしていくものだと思います。

ある高校を選択するということは、
そのほかに合格するかもしれない数十校を
切り捨てるということであり、
まじめに考えて学校を選択したのであれば、
「あの時、もっと真剣に学校を選んでおけばよかった」
という後戻りのできない後悔はしなくてすみます。

また、見えないなりにも、自分で決めた将来に対して
アンテナを張って情報を集めていくと、
早い時期に間違いに気づいたり、別の自分に
向いてるものを発見する機会が増えるはずです。

与えられた環境でのほほんと過ごしてしまうより、
全力で「考え」→「行動し」→「結果を出す」。
そういう一年であってほしいと思います。

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