ニューズウィークから「生きる力」

2月の説明会では、お忙しい中、
お時間をいただき、本当にありがとうございました。
予想以上の高い参加率に、感謝すると同時に、
会の後の皆様の質問の内容から、
みなさんが心配されていることと、私が中学生の
生徒を教えていて感じる不安とがリンクすることに驚いております。

実は今、手元に去年の11月に発売された
「ニューズウィーク」があります。その月の特集は、
「おかしいぞ!ニッポンの教育」というものでした。
サブタイトルには、
「世界に学ぶ『学力低下』の防ぎ方」
「学校。ゆとり教育と学力低下の不安の間を揺れ、
 今は『エリート教育』へ邁進、一貫性のない改革の代償は」
と太字で書かれています。その特集の中に
「エリート」「選ばれた人たち」という言葉が頻発します。

ここからは記事の内容ではありませんが、
バブル期を過ごした日本人であれば、記事の中にある、
「エリート」という言葉に鼻持ちならない、
胡散臭い響きを感じるように思います。
バブルのころまでは、日本人はほとんどの人たちが
「中流」という意識を持っていたそうです。
そして、その中流意識を支えていたものが、
「終身雇用制度」と「年功序列賃金」であり、
また、「約束された将来」を導く学歴であったようです。

現在はというと、経済が破綻し「2:8の法則」という
アメリカ型の資本主義システムに近づきつつあると
言われています。「2:8の法則」とは、
上位2割が8割の富を占める状態になるというものです。

現在、日本の人口はおよそ1億2千500万人いると言われますが、
2007年から人口は減少していきます。
労働人口が減少し、消費者人口が減少するので、
市場も縮小されます。それに対応すべく、リストラを行い、
母体を大きくして上位2割に入るように、合併がさかんに
行われています。代表的な例では、
みずほ銀行や、UFJ銀行などが挙げられます。

このような混沌の時代の中で、本当に求められる人材とは、
どのような人材なのでしょう?
ただ単に言われたことを正確に行い、
敷かれたレールの上を最短距離で突っ走る、
「将来を約束された人」ではなく、
人の上に立ち、混沌の中から指針を示すことのできる、
責任を持ちえた人ではないでしょうか?
また、縮小する市場に対して新しい提案ができる、
創造力や独創性のある人ではないでしょうか?
そういったリーダーを育てることが一番必要に思います。

記事の内容に戻りますが、
「いずれアジアに抜かれる」という章があります。
「グローバルな大競争時代には、新しいものを生み出せる
 突出した人材が必要だ」
「日本の子供は学ぶ意欲やハングリー精神が欠けてきている。
 このままでは、アジアの子供たちにいつか追い抜かれてしまう」
と書かれています。

確かに世界の貧しい国の子どもたちの「学ぼう」という意識は、
日本の子どもたちと比べ物になりません。
深夜、繁華街をうろつくおかしな格好をしたガキと、
必死で生きようとするストリートチルドレンとは、目の色が違います。

生きることに不自由のない生活の中で、
一生懸命に生きる姿をイメージしながら、
将来を設計するのは難しいことだと思います。
その意味において、戦後の日本は、職と住が同居して、
一生懸命に働く姿勢を見せていた親の背中から、
学び取るものは多く、また、情熱を持って指導される
先生方も多かったのかもしれません。

説明会では、「将来を見据えた受験ができるように」
というコンセプトでかつて、将来が約束されていたはずの
公立高校の上位校の実績を紹介させていただいたり、
地元中学の指導の実態を分析させていただきました。
危機感をあおるつもりはなかったのですが、
自分の力で積極的に将来を切り開くような
そんな生徒に育っていってもらいたいと思います。
また、最近は昼間の時間で連絡がとりにくいご家庭が
増えており、懇談の日程などが組みにくくなっております。
ご夫婦で働かれている家庭が増えているのだと思います。

そのような両親の背中を見ながら、いろんな視野を広げて
たくさんのことを学んでもらえるような意識付けも
お手伝いできればと考えております。

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