子どもを破壊するメッセージ
塾で毎年のように生徒達を教えていると、
保護者のみなさまと年に数回の懇談を行います。
そこでいろんな話をするのですが、中には何も言うことが
思いつかないような生徒が毎年数人います。
いわゆる「申し分がない」ということなのですが、
点数しかり、学習姿勢しかり、生活面など、どこをとっても、
私のような大人がアドバイスをするのがはばかられます。
逆に私のほうが、
「どうやったら、あんなにいい子になるんですか?」
と聞きたいくらいです。
最近コーチング゙という言葉が教育業界では流行っており、
書籍でも「『親力』で決まる」や、「プロ親になる」などの
書籍がドラゴン桜のコミックとともに売れているらしいです。
私が懇意にしている教育業界のコンサルタント
(実は1月17日に学習サークルに来ました)も、
「子どものやる気を引き出す親のアプローチ」
というメルマガを発行しています。
これらの切り口はほとんどが、アドラー系の心理学の
応用で基本的には「子どもはほめて育てよ」と言っています。
しかし、何でもかんでもほめれば良いというものではなく、
しっかりと3歳までにモラルを築き上げ、愛情を
注ぎ込んでおく必要があると言われています。
子どもは生まれた瞬間に全知全能の神の座を手に入れます。
子どもの周囲は未分化な世界で、全てが子どもを中心に
回っています。「オギャー」と泣けば必ず誰かが
自分のために何かをしてくれます。
この頃の子どもは責められることがありません。
責められるどころか、ほめられまくります。
「すごいねぇ~。こんなこともできるようになったのねぇ~。」
「いい子ねぇ~。」「えらいねぇ~。」
そうしてこうした賞賛の後押しを受けながら、
6~8ヶ月ほどで這い這いを始めるようです。
そして、この頃から子ども達は、「他者」を発見しはじめます。
自分以外の意志を感じ取るのです。
「自分がしたい」と思うことを母親が制限を始めます。
自分以外の意志を確認したときに、他者を発見し
同時に自分も発見します。
他者の発見が子どもを全知全能の地位から
引きずりおろすのです。
子どもは自分の意志を貫き通すことが難しくなり、
身近な人と折り合いをつけなければならなくなります。
これが始めての社会経験となります。
そして、自分の中に他者を受け入れて、
社会的関係を営むことを覚えていきます。
そして、他者のモデルとして自分のお父さん、お母さんを据え、そのモデルに気に入られるように自我を作っていきます。
ですから、3歳くらいまでの子どもは積極的に
親の言うことを聞いて、賞賛をもらおうとがんばります。
この時期にしっかりと愛情を注いでいないと、
親からなかなか独立できず、甘えん坊の人間になってしまうようです。3歳までにしっかりと甘えられなかった子どもは、
その時期の親の愛情を永遠に取りもどそうとするからだそうです。
子どもは親をモデルに自我を発達させていくので、
親に非常に良く似たことをするようです。
「子どもは親の言う通りにはしないが、
親のする通りにする。」
うまく言えているのではないでしょうか?
そして子ども達が公園デビューをする頃になると、
親は他の子どもと自分の子どもを無意識のうちに比較し、
得体の知れない自分で作り出した標準から引き算をして
子どもを叱り始めるのかもしれません。
ほめられたりなかった子どもは中学生頃になると、
随分無口になり、覇気が少ないように感じます。
子ども本来の天真爛漫さが少ないのは気になります。
そういった子ども達が受ける、親からの
マイナスのメッセージをあげてみました。
紙面の関係上、今回はそれぞれ詳しくは書けませんが、
機会があれば詳しく述べたいと思います。
子どもを破壊するメッセージ
1.存在するな。「あなたさえいなければ・・・」
2.あなたであるな。「あなたが女の子に生まれてきたら・・・」
3.近寄るな。「今、忙しいから・・・」
4.属するな。「親の顔に泥を塗る・・・」
5.成長するな。「あの頃は素直でいい子だった・・・」
6.子どもであるな。「もう少し大人になりなさい・・・」
7.正常であるな。「変わったことをすると喜ばれる・・・」
参考:「自立と孤独の心理学:加藤諦三」