【大学入試制度改革の余波】高校で上のコースに入ると損をする！？

※中堅私立高校のお話しです。
(偏差値50程度：たくさんの生徒数を抱えることができます)

昨年度の入試で、中堅私立大学の
文系の倍率が軒並み跳ね上がっていたこと
月報などでもお知らせしている通りです。

一方で、国公立大学や私立の上位大学は
概ね例年並の倍率でした。
中堅私大の倍率が跳ね上がったことにより、
今年の私立高校でのコース選びに
意外な余波が押し寄せています。

一般的に私立高校では、
学力の高い子を集めた上のコースと、
普通のコースとに分けて指導を行っています。

このコース分けですが、
一昨年度までは上のコースに入った方が
進学が有利になっており、
進学実績も良かったのですが、
昨年度はそうではありませんでした。

上のコースの子達が落ちまくった大学に
下のコースの子達が合格するという
逆転現象が起きている高校が多かったということです。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか？
理由は「推薦入試制度」にあります。

私立高校の生徒募集の要は
「進学実績」です。
一般的に私立高校では
「指定校推薦枠」が公立高校よりも充実しています。

この制度は、
「高校１年生から３年生の１学期までの評定平均が
　高い生徒から、学校が持っている大学の推薦枠を
　もらう資格を得られる。」
というものです。

５段階の評定で高得点を取っておけば、
一般入試で受からない実力以上の大学でも
合格できるというものです。

そしてこの制度は、学校から推薦さえもらえれば、
ほぼ間違いなく合格するという内容のものなので、
学校としては優秀な生徒にはあまりあげたくないものなのです。

優秀な生徒は自力で難しい大学を受けて受かってもらい、
受かりそうにない生徒に指定校推薦の枠を与えれば
合格実績を伸ばすことができるからです。
ただし、優秀な生徒ほど評定平均も高いのが事実です。

そこで、多くの進学校がいくつものコースを設け、
上位コーススの生徒には指定校推薦を与えません。
また、そのことを納得させるために、
上位コースの生徒は国公立大学を受験する
という位置づけにします。

こうすれば、上のコースの生徒は
指定校推薦をもらえないので
必死で勉強して合格実績を伸ばしてくれますし、
下のコースの子は指定校推薦で
実績を確保できるので、まさに一石二鳥です。

数年前まではこの方法で上手くいっていましたが、
今年はそうでありませんでした。
一般入試の超難化により、
下のコースの生徒が指定校推薦で受かるレベルの大学に、
上のコースの生徒が受からないといった現象が多数おきてしまいました。

高校入学時に上のコースに入ることができれば、
普通は誰でも喜ぶはずです。
さらに、学年が上がる時に入れ替えで、
上のコースに入ることができた生徒は、
勉強を頑張っている生徒だと言う事ができると思います。

しかし、その頑張った生徒たちが
報われない状況が起きているのは
如何なものでしょうか？
そして、その傾向は今年も続くと見られています。

上記のようなコース分け
（上のコースに指定校推薦を与えない）
をしている大阪府のH高校では、
既にこの４月に影響が出ています。

指定校のない上のコースを避けて、
下のコースに入りたいという生徒が増え、
下のコースから上のコースに上がりたくないという生徒も増えたため、
上のコースを１クラス減らし、
下のコースを１クラス増やしました。

上のコースの生徒は国公立大学を目指すように
学校からも指導されますが、
実際に国公立大学へ進学する生徒は、
ほとんどいませんし、
この学校の授業の様子や、
定期テストの問題など生徒指導の様子を見ている限り、
国公立大学（特にこの学校に通っている生徒が
自宅から通うことのできる国公立大学）
へ進学させる実力のある先生はほとんどいません。

こうした事態に備えるためにも、高校入学時に
①上のコースは指定校をとれるのか？
②指定校をとれるとすると、上のコースと下のコースではとれる大学が違うのか？
③上のコースと下のコースで評定の与え方はどうなるのか？
以上の３点は説明会の時に聞いておくべきだと思います。

また、その学校の進学実績のうち、
自宅から通える国公立大学へ、
そのコースの定員のうち、何パーセントが
合格しているのか？など、
その学校の大学へ合格させる力も
しっかりと見極める必要があると思います。

以下は、３月２４日のヤフーニュースの記事です。
詳しく載っていますのでご参照下さい。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190324-00063635-gendaibiz-bus_all&p=1