毎年冬になれば
次のようなニュースを耳にすることになります。
「屋根に上って雪かきをしていた高齢者が、転落して亡くなりました。」
毎年このニュースを聞くたびに私はとても胸が痛くなります。
何とか解決できる方法は無いものか？
なんで高齢者が屋根に登るのだろう？若い人は？
行政のサービスはどうなっているのだろう？
などなど、さまざまな疑問が湧き上がります。

私は若い頃金沢に住んでいたことがあります。
日本海側は豪雪地帯で、あっという間に雪が積もります。
さっきまで晴れていたのに、
雪が降り出したなぁと思った途端に
道路が一面真っ白になります。
その地方の方にとっては、当たり前の光景で、
何言ってるんだ？ということかもしれませんが、
マンションの前の道に膝くらいまでの雪が積もった時は
どうやって歩道まで行くのだろうかと
本気で心を折られるような思いでした。

青森県は世界一雪が降り積もる県です。
一晩に１ｍから２ｍが屋根の上に降り積もります。
１日でも放っておくと雪の重みで家が押しつぶされるため、
屋根に上って雪かきをする必要があります。
家を守るために、家族を守るために雪かきをするのですが、
北陸、東北地方の雪深い地域になると
過疎化の影響で若い人が家におらず、
家に残っている高齢者が屋根に上ることになります。
家を守るために屋根に上り、そこで足を滑らせて屋根から転落し、
ある日その人生が終わってしまうのです。
こんなに切なくて悲しいことはないと思います。

今年に入ってから、青森県では
雪の降り方が災害級だと報道されていました。
私は毎年、社会の授業でこの雪かきに関する話をします。
何とかして雪かきを手伝いに行けないか？
高齢者が屋根から落ちないように何かできないか？

今年の生徒達ともそのような話をしていました。
中３の授業で、宿題を忘れてきたり、
何度も同じことを教えているのに、
なかなか身につけずにヘラヘラしている生徒たちに、
「お前らっ！そんなに勉強するのイヤなんやったら
雪かきに連れて行って、数日間強制労働させるぞっ！」
と少し冗談交じりに行ってみたところ、
何人の生徒達が本気で
「連れて行ってもらえるなら行きたい！
自分も何か役に立ちたい！！」
と言い出しました。
あまりに嬉しそうに言うので、面食らったのですが、
雪かきのことについて共感してくれた生徒が
役に立ちたいと言ってくれたことが私にとっても嬉しく、
本当に何かできないかと考え始めました。

雪かきのボランティアについても調べてみました。
雪かきだけでなく、様々な社会問題解決の取り組みとして
広げることができないかと思いました。

KGCのスタッフには大阪公立大学の学生がたくさんいます。
工学部の学生達と役に立つ装置を作る取り組みができないか？
などと話し合ったりもしました。
もしかしたら、中学生や高校生、大学生たちの方が考え方が柔軟で、
突拍子もないところからアイデアが生まれ、
それが解決につながるきっかけ作りになるのではないか？
などと考え始めました。

また、今年の夏はコメ不足の問題も起こりましたが、
私の知り合いの農家では夏の日照り続きが影響し、
例年以上に品質で基準に到達できる米の収穫ができておらず、
収入面で不安を抱えているそうです。
それだけでなく、どこの農村でも同じですが、後継者問題で悩んでいます。

社会課題の解決と言えば聞こえはいいですが、
簡単に解決できるのであれば、地元の人たちがとっくに
取り組んでいるはずです。
雪が降らない大阪にいる中学生が思いつくことなんて、
雪国の人たちはとっくに取り組んでいて、
上手くいかなくて今があるのが現実だと思います。
けど、積極的に取り組みたいと言ってくれている生徒がいるので、
何か動き出したいと思った私は、
青森県にいるSNSで知り合った塾長に電話をしてみました。

「雪かきをしたいんです！」

次回に続く

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