環境が子どもを育てる

先日生徒にドキッとする質問をされたことがあります。

「先生、親がバカやったら
       子どももバカになるの?」

実はこの質問は初めてではないのですが、
真剣に考えたこともなかったのです。
ところが、最近自分自身のことを考えながら、
同じようなことを考えていたので、気持ちを見透かされたようで、
ドキッとしました。

今までは、考えなしに「それはない。努力しなさい」と
答えていました。それは、「勉強してもどうせ成績上がらん。」
と投げやりな態度を取る生徒が多かったせいでもあります。
今回の質問は「そんなことはないと思うよ。」と答えました。

しかし、あまりにも思いつめた表情で聞くその生徒の顔が
忘れられず、一度きちんと調べてみようかと言う気になりました。
が、やっぱりやめることにします。結果がどう出ても、
私がすることは、その生徒の成績を今よりも上げること、
そのための勉強の仕方や生活の上での時間の使い方、
賢くなるための基本動作や、考え方、物事に向かう姿勢を
鍛えていくこと以外にはなく、その答えがどうであれ、
その生徒には余分な情報だと思ったからです。

今回は、私が本を読んだり、講演会を聞きにいったり、
いろんな人の話を聞いたり、さまざまな生徒を教えた経験から
私なりに1つ言えることがあるので、
それを述べさせていただきます。

たとえば、馬の出産シーン、海ガメが卵からかえるシーンを
テレビなどでご覧になられたことがあろうかと思います。
私はいつも、生まれてすぐの馬の子が走り出すシーンを見て、
また、海に向かって歩き出すカメを見て
「すごいなぁ、なんで走り方がわかるんやろ?
 なんで海の方向がわかるんやろ?」
と不思議に思います。人間の子ではありえないことです。
それは、人間以外の動物は生まれてから死ぬまでにすることを、
「遺伝」と言う形であらかじめ備え付けられてこの世に生を
受けるからです。生まれてから、どのようにして生きるか、
生まれてくるときには本能としてわかっているのです。

シマウマは集団の中で傷ついた1頭が、わざとトラやライオンの
おとりになうために、群れとは別の行動をとったりしますが、
それも「種」を残すための「遺伝」で備わった能力です。

人間の子は生まれた瞬間、泣くことで呼吸を始めます。
いきなりニコッと笑って「おっす!」なんて言いません。
そして、人間の子は、生まれた社会になじむように、
生まれたあとに生き方を「教育」していかなければなりません。

人間の子は「遺伝」として備え付けられている能力が
他の動物より少なく、まだまだ未熟なまま生を受けるのです。
ですから、英語圏に生まれると英語を話すようになり、
日本語圏で生まれると、気遣いのできる能力が
他の国よりも発達しているらしいのです。

だとすると、子どもが賢いかどうかは育つ環境に依存するほうが
大きいのではないでしょうか?
生まれてからどのような大人になりたいか、
という意思がどこまで育っているかが、
普段の生活の中でのその子どもの行動を
決定しているように思います。

その際に、どのような環境に身をおくかで、子ども自身の
将来の選択肢の育ち方が変わってきます。
たとえば、政治家に2世議員が多いのは、
子供のころから、国全体のことを考えながら、
生活している父親の姿を見ており、また、父親の交友関係も
政治家が多いことから、その素養が育ちやすいのです。

「行列ができる法律相談所」の住田弁護士は東京大学卒で、
在学中に司法試験に合格し、法務大臣秘書官まで勤めた
キャリアですが、彼女の娘も東京大学在学中です。

最近、ライブドアの堀江社長の本を読みましたが、
あの方は私と同じ世代で、同じ時期に同じように
パソコン通信をしていました。
堀江社長はパソコンを使ったアルバイトをはじめ、
それを事業として起こしたのですが、
同じような年齢で同じようなことをしていて、
あのように起業する道を見つけることができるというのは、
普段から「自分が何をしたいか」ということについて
考えることが多かったのだと思います。
そしてプラスして、環境が生かしてくれた能力だと思います。
それは、彼が東京大学に在籍していたことも関係があります。
なぜなら、先端技術の大手企業は、優秀な学生のいる学校の
教授にバイトとして使える学生を斡旋してもらうことがあるのです。
この近所では「大阪大学」が三菱総研などとタイアップしています。

KGCという環境に子どもたちが来てくれたときに、
さまざまな面で自分にプラスになるように、意思を持って
勉強に臨んでくれる生徒になってもらいたいと思い、
我々も、努力していきたいと思います。

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