小さい達成感の積みかさね
4月から家で勉強する習慣がつくようにということで、
各講師から授業を通して、さまざまな話があり、
課題が出されているものと思います。
また、先月のコラムをお読みいただき、
ご家庭でも、年度初めということで初心を顧み、
さまざまな試みをお子様とされているという話を聞き、
身が引き締まる思いをしております。
さて、ゴールデンウィークを控えて、
学習サークルでは少し多めの宿題を課しております。
長期の休暇になるため、旅行に出かけられるところもあり、
様々な予定を入れられているご家庭が多いため、
授業を入れることは避けさせていただきました。
ご家族で充実した時間を過ごされることも、
学習意欲の喚起には必要だと心得ます。
さて、授業内で宿題を配布したものの、
生徒からは、やはり喜ばれるモノではありません。
中には「ゴールデンウィークが嫌いになった。」
と言い出す生徒までおり、複雑な思いがあります。
私もかねてから、宿題をたくさん出すことは
あまり好きではありません。
勤め初めの頃の塾は、膨大な宿題を出すところで有名でした。
それなりの成績の生徒が集まる塾でしたので、
生徒達は難なくこなしているように見えました。
また、それがこなせない生徒は受け入れないような塾でした。
ですから、宿題を出せば出すほど知識が身につき、
成績が上がっていたような気がします。
ところが、よくよく生徒に聞いてみると、
宿題のほとんどは、学校に持っていき、
休み時間や、授業中に答えを丸写ししているという状態。
成績が下位の生徒ほどそのような傾向がありました。
課題で追いかけることの限界を見たような気がしました。
4月、学習サークルでは、FAXでの宿題提出を増やしました。
年度の初めにしっかりと良い習慣を
身につけてもらいたかったからです。
また、宿題の正解率をポイント制にして評価するようになると、
途端に丁寧にする生徒が増え始めました。
中には「再提出」と書いて、見直した後に間違いを見つけて
送ってくる生徒もいます。自分で間違いに気づいて
やり直すことは、点数アップに結びつくため、
良い傾向だと思い、頼もしく思いながら見ております。
しかしながら、ポイントで評価するというのは一つの
対症療法であり、長くは続きません。
できれば、そうした他人の評価から自由になり、
必要と思って自ら課題を課すような生徒に
なってもらいたいと思います。
そのために必要な意識を
今月は生徒に話していきたいと思います。
たとえば、宿題をするときに、提出して評価を受ける前に
自分で目標をあらかじめ設定しておくことです。
小テストを受けるときにも自分で目標を設定しておくことです。
とある銀行マンから次のような話を聞きました。
「他人からの評価を受けて自らを奮い立たせる人を『他燃性人間』
自ら目標を設定して自分を奮い立たせる人間を『自燃性人間』と
いう。世の中で成功する人間、人の上に立つ人間はほとんどが
自分では気づかないくらい『自燃性人間』である。自然性人間は
他人の評価をあまり気にしないため、マイペースに見えるが、無
頓着なのではなく、自らの目標に従って信条を立てているため
飄々としている。」
自分で自分を奮い立たせるというのは難しいです。
特に中学生に「目標」として志望校を設定させるということ、
大阪進学模試の時にも、判定する志望校を選ぶのに
苦労した生徒も多かったようです。
特に自分で設定する目標は、
もしそれに達成しなくても、誰に叱られるわけでもなく、
誰に迷惑をかけるわけでもありません。
ついつい甘くなってしまうのが当然です。
そこで、一度決心した思い、つまり「目標」を
長持ちさせるコツを紹介したいと思います。
まず、目標のレベルは出来るだけ最初は低いモノにすること。
そして、それを紙に書き、見えるところに置いておくことです。
机の前に張ってもいいですし、壁に張ってもいいでしょう。
そして、それをコツコツとこなしていくことです。
毎日目にとまるところに置いてあると、
必ず、脳裏に焼き付きます。
三日坊主の典型的な理由は、
目標を設定したことすら忘れるというところにあります。
見ると、目標を設定したときの決心や思いを忘れずにいられます。
受験生の部屋に「東大合格」の紙が貼ってあったり、
進学塾の壁に横断幕が掲げてあるのは伊達ではないのです。
一つこなすごとに自分の経験値が上がっていきます。
テレビゲームのロールプレイングと同じで、
経験値をたくさん積むと自分のレベルがあがっていきます。
どのような目標でも努力して、自分のレベルがあがったと思えば、
達成感を味わうことができ、誰でもうれしいと思います。
この達成感を味わってもらうことが大切です。
小さな目標を自分で設定し、
一つずつ確実にこなし、次の目標を自分で設定する。
もし、目標を設定するのが難しければ
最初は我々講師がお手伝いします。
そうして、他人に評価されるということから、
少しずつ自由になって自分の人生を
歩み始めてもらいたいと思います。