約束を守ること・思いやり

先日、中学1年生のとある男子生徒の自転車が、
ファミリーマートの入り口から、
奥の駐車場に行く途中の通路に
移動されて、倒されていました。
ファミリーマートに出入りする車の邪魔になるだろうという、
あるお母様が厚意で立ててくれたようですが、
そのお母様から後でお電話をいただきました。

少し前、講師が授業開始前に駐輪場にいて、
来た生徒の自転車を並べていました。
整列させることができるようになってきたなぁと思って、
しばらく駐輪場に講師が立たなくなると、
また、自転車は並べられなくなりました。残念なことです。

少し前に、小学生の授業が始まる前に、
自転車置き場を少しはなれたところから見ていました。
小学6年生の男子がものすごい勢いで自転車をこいで
駐輪場に入ってきたと思ったら、その勢いのまま、
止まっている2台の自転車に体当たりして、
こかしてしまいました。私に見られていることに気がついたその生徒は、
バツの悪そうな顔で、自転車を起こしていました。

少し前に、廊下で暴れていた小学生が、
廊下の掲示物をはがしてしまいました。
その生徒と私は、みんながいる場所では暴れないという約束をしたのですが、
次の週、その生徒は教室から素足のまま走って、建物を出て行き、
駐車場まで友達と追いかけあいをしていました。
私は、約束が守られなかったことを残念に思いました。

去年の今頃、塾にはたくさんの
お菓子が入っているお菓子箱がありました。
塾に来て、一生懸命勉強をして、
それでも疲れた表情を見せず帰る生徒に、
「はい、あげる」と手を差し出します。
意外な表情を浮かべ、「ありがとう」と喜んでもらえる、
その嬉しそうな表情が好きでした。
ところが、あるときから、中学生の生徒が黙って、
お菓子を持って帰るようになりました。

「一人一日一個」と決めていたのですが、
それ以上のお菓子をポケットに忍ばせて、
勝ち誇った顔で帰る生徒も現れました。
そんな生徒が増えてきたのを見て、
私はお菓子箱にお菓子を補充するのをやめてしまいました。

学習サークルの玄関は、隣の別の教室と共用しています。
学習サークルの生徒には、くつをそろえて脱ぐように指導しています。
また、あまりにも靴が多いときは、
講師がくつをつめて置くように並べたりするのですが、
びっしりと並んでいる靴を隣の教室の生徒が蹴って出て行くのを見ました。
また、ウチの生徒が他人の靴を踏んで出て行く姿を見たこともあります。

学習サークルの下にはファミリーマートがあります。
授業が始まる前に腹ごしらえで、食べたくなるのはわかりますが、
店の前で立ったまま、生徒が集まって食べている姿を見るのが好きではない私は、
教室に持って入って食べるように指導しています。
また、買ったものを食べながら塾に上がってくるのもダメだと言っていますが、
生徒の中には、ファミリーマートから食べながら
塾に上がってくる途中にゴミをところかまわず捨てる生徒がいるようです。

私が見つけて注意すると、「あっ、落ちてしまった。」と
いかにもわざとではないと言わんばかりの言い訳をする生徒がいるのも残念なことです。

これらの生徒達の行為は、全てが家庭のしつけだと言い切れない部分があります。
いくら家で言って聞かせても、外に出てそれが通用しなければ、
「あぁ、こういうことはしなくてもいいことなんだ。」
という認識になってしまうのは仕方のないことです。

こういった生徒達の行為の背景には、
「見られてなければ、何をしても大丈夫。」
「行為の背景には、自分以外の原因があり、自分もその
 原因となることの被害者なんだ。」
といった考えがあります。例えば、

「自分が暴れたのは、周りに暴れさせられたからで、自分
 は暴れるつもりはなかったのだ。」ということでしょう。

人数が増えてくれば、いろんなタイプの人が集まってくるので、
こういう現象が起きるのはある程度仕方ないと思いますが、
私は、「勉強ができればそれでいい」というふうには思っていません。

成績の伸ばし方は色々とありますが、
私は正しい方法で伸ばしたいと思っています。
正しく伸ばすとは、簡単に言うと、
人として当たり前のことを当たり前にできるようにさせる教育法です。
例えば、宿題をしてくる。テスト勉強をしてくる。
分からないところは質問する。忘れそうになったら復習するなどです。
そして、それらを定着させるためには、姿勢を良くしなければいけません。
そのために、私は塾で勉強以外に、思いやりを持つこと、
約束を守ることをきちんと伝えていきたいと思います。
また、卑怯なことはしないということ、
惻隠の情(弱者への目線)持つということも教えていきたいと思います。

約束を守るということは、宿題をきちんと済ませてくるとい事につながります。
思いやりを持つことができれば、静かに自習している生徒のいる横で、
携帯電話を片手にうるさく盛り上がることもなくなるでしょう。
また、そういう状況を講師から指摘されて、注意されたときに、
みっともない言い訳をしなくなり、
言い訳することがみっともなく感じたり、
恥ずかしいと思うようになります。

嘘をついたり、誤魔化したりすることに慣れてしまうと、
成績は伸びなくなってしまいます。今の子ども達は、
誤解を恐れない言い方をすると、
それが通じる環境に慣れていることが多分にあります。
そういうことがみっともないことだ、
卑怯なことだという認識を生徒たちにもっと持たせる必要があると、
最近、考えるようになりました。

学習サークルは地域に根ざした塾を目指しています。
「教育は地域ぐるみで」とよく言われますが、
この塾ができたことによって、
学校の平均点が上がって欲しいと思いますし、
この塾に通ってくれることによって生徒達の生活が
充実したものになってもらいたいと思います。
そのためには、気持ちよく過ごせるメンバーでいて欲しいと思います。

気持ちよく過ごしてもらうためには、
お互いがルールを守らないといけません。
子どもを取り巻く悲惨な事件が多い中で
この地域の子ども達がまだ事件に巻き込まれていないのは、
大人たちの間でルールが守られているからです。

塾は成績を伸ばしに来るところであり、勉強さえ教えていれば、
役目を果たしているのかもしれません。
が、いい仲間が集まり、切磋琢磨して、良い人間関係、
師弟関係を築いていくことができれば、
単に勉強を教える以上に、
得るものが多い教育機関として学習サークルを
育てることができると思いますし、
ここを卒業することに誇りを持ってもらえると思います。

その一員となってもらうための指導をこれから、
心がけていきたいと思います。